親知らずを自家歯牙移植し、10年以上保存に成功したケース

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天然歯と歯根膜を活かす治療

洋一歯科医院では、「天然歯と歯根膜を活かす治療」として、自家歯牙移植を行っております。 
自家歯牙移植は噛み合わせに参加していない歯(親知らずなどが一般的)を欠損してしまった部分に移植することで、インプラントのような人工歯根ではなく天然歯の機能をそのまま保存することができるというメリットがあります。

今回は、当院で自家歯牙移植を行い、10年上歯を保存することに成功しているケースをご紹介します。

左上6番の銀歯が取れたという主訴で来院

2012年に左上の銀歯が取れたという主訴で来院された20代の女性の方です。
主訴は左上6番の銀歯が取れたという主訴でしたが、カウンセリングをしていると、前日から対合歯である左下6番の歯茎が腫れているとのことでした。

治療計画のご提案

実際に患者さんにお見せしたレントゲンです。
歯茎が腫れている左下6番は、一度根管治療を行っていました。よく見てみると、歯の根と根の間に黒い影が見えます。これを根分岐部病変といいます。

原因は様々考えられますが、歯の状態は思わしくない状態でした。治療か抜歯かを選択する必要がありますが、治癒しない場合を考慮して、抜歯のご説明をしました。

このケースでは抜歯をただ選択しただけではなく、8番の歯が移植できることがわかっていましたので、自家歯牙移植を提案し、天然歯と天然歯にしかない歯根膜を活用した治療をご提案しました。

補足:歯根膜のメリット

歯根膜は噛んだときの力を感じるセンサーの役目や、噛む力を分散してくれるクッションのような役割があります。これは天然歯にしかない機能で、インプラントには存在しません。

そのため、移植できる天然歯がある場合は、こちらを優先してご提案をしています。インプラントよりも費用を抑えることができます。

治療経過

治療経過としては良好な状態をたどっています。
画像は2021年12月までですが、2022年以降もメンテナンスで確認をしていると、良好な状態が維持できています。

治療終了時・メンテナンス時の写真

自家歯牙移植で重要なのは、移植した歯が長持ちすることが何よりも重要です。
噛み合わせが悪いと、歯根破折のリスクがあります。噛み合わせ全体を治すのには矯正治療、コスト的に難しい場合は定期メンテナンス時に都度かみ合わせのチェックを行い、かみ合わせのコントロールを行う必要があります。