虫歯治療
「残す」ことにこだわる虫歯治療
洋一歯科医院では、虫歯治療をするとき「3段階の残す」こだわりを持っています。
- 歯質を残す
- 歯髄(歯の神経)を残す
- 歯を残す
患者様の立場から考えれば、出来る限り歯を失いたくないと思ってるでしょう。当然、歯科医院の立場からしても歯を残してあげたいと強く思います。
では、どうして3段階の残すを意識する必要があるのでしょうか。次にご説明します。
3段階の残すを実践する理由
理由1:歯を守るため
エナメル質は歯の構造でいうと1番外側にある最も硬い部分です。歯の神経を守る役割があります。エナメル質の下にある象牙質は柔らかい組織のため、象牙質に虫歯が到達すると虫歯はギアを挙げ、急速に進行スピードが早まります。
健康な歯質を残すことは虫歯の進行を抑え、歯を守るバリアのような機能を維持することにつながります。そのため、拡大鏡やマイクロスコープを使用して、必要最小限の治療に留めるようにしています。
理由2:歯の強度を保つため
歯の神経(歯髄)は、花で例えると根や茎です。
根や茎を失った花はどうでしょう。栄養や水を吸い上げることができないため、枯れてしまいますよね。
水を与えなくても花は枯れてしまいます。それほど根や茎は花をキレイに咲かせるためにも重要であると言えます。
したがって、歯の神経を失うことは血液の供給が絶たれてしまうため、歯に水分や栄養が届かなくなります。そうすると必然的に歯は強度を失い、欠けたり割れやすくなってしまうのです。
だからこそ、歯の神経を失いたくない。残したいと思うのです。
理由3:ご自身の歯で過ごすため
歯は現在の科学では、再生させることはできません。もちろん、歯を失えば二度と生えてきません。
ブリッジや義歯、インプラントなどの治療法は確立されていますが、あくまでも人工歯です。
天然歯には歯根膜と呼ばれる歯に加わる衝撃を分散してくれるクッションのような役割や刺激を完治するセンサーのような役割がありますが、人工歯にはありません。
神経のある歯に比べて強度は下がります。しかし、噛み合わせを調整しながら虫歯の再発を抑えることで、出来る限り長くご自身の歯で過ごすことができます。
むやみに抜歯を選択せず、診査診断を行った結果残せる可能性があるのであれば、培った技術をすべて使って歯を残す努力をしたいと思います。
歯を失う負のサイクルをストップする
この図をご欄ください。
虫歯と歯周病に目が行きがちですが、3番目に多いのが「破折」です。
この破折というのは、歯が折れてしまうことです。虫歯治療を繰り返し、歯の神経をとってしまうと歯の強度が下がってしまうため、歯が割れてしまうことがあります。
また、咬合性外傷と呼ばれる噛み合わせの力も関与して、より歯が割れやすくなってしまいます。
治療の繰り返さない
虫歯は再発します。再発をすれば、また治療を行わなければなりません。
こうして度重なる治療を繰り返して結果的に抜歯になってしまう。これをリピーテッド・レストレーション・サイクルと言います。
この負のサイクルを食い止めるため、当院は治療後の定期メンテナンスを啓蒙し、歯を失わせないよう最大限努力していきます。
虫歯の治療方法
虫歯の治療は大きく分けて5つあります。
- 再石灰化を促す治療
- 虫歯を除去する治療
- 歯の神経、根の治療
- 抜歯
- 歯冠修復治療(詰め物や被せ物)
- 欠損補綴治療
虫歯治療にはこれらの方法があります。
これは虫歯の進行段階によって異なるため、それぞれについてご説明していきます。
再石灰化を促す治療
初期虫歯の場合は、歯を削らずに再石灰化を促します。プラークを除去し、セルフケアの質を高めるサポートをしながら、フッ素を行います。
治療の対象
- CO(初期虫歯)の状態のみ
虫歯を除去する治療
エナメル質や象牙質にまで虫歯が進行している場合、虫歯を削って除去します。虫歯を取り残すと再発のリスクが高くなるので、取り残さないことが重要です。これ以上進行すると、歯の神経を残せない可能性があります。
治療の対象
- C1(エナメル質にまで進行した虫歯)
- C2(象牙質質にまで進行した虫歯)
歯の神経、根の治療
歯の神経が虫歯に侵されてしまった、歯の根にまで進行してしまった場合は、根管治療が必要になります。歯を残す最終手段の治療です。
治療の対象
- C3(歯の神経、歯の根にまで進行した虫歯)
抜歯
歯冠が大幅に溶かされ、歯根しか残っていない状態です。歯の保存を試みますが、他の歯への影響を考慮して抜歯をしなければならない可能性があります。
治療の対象
- C4(歯の神経、歯の根にまで進行した虫歯)
歯冠修復(詰め物・被せ物)
虫歯を削った歯冠部を修復します。削った範囲によって、コンポジットレジン充填・インレー・アンレー(詰め物)、クラウン(被せ物)と修復物が変わります。
欠損補綴治療
抜歯の場合、抜歯した部分を補う治療が必要です。主に、ブリッジ・部分義歯・インプラントから選択します。
虫歯治療の流れ
初日
治療以降の流れ
歯医者さんで出来るむし歯の予防方法は?
むし歯はよっぽどの初期でない限り、一度できてしまうと治療をしたとしても、その後詰め物の劣化とともにその脇からむし歯になる可能性は常に付きまといます。そのため、むし歯は「できてから治療」をするのではある意味もう遅い、とも言えます。
つまり、一生むし歯で悩まされないようにするためには、むし歯で歯を削って治療することがないよう「予防」するのが最善の策なのです。
むし歯を予防するためには、「歯磨きを頑張ればいい」と思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、歯磨きを頑張ってもむし歯になる人は後を絶ちません。つまりこれはどういうことかというと、歯磨きの仕方自体に問題があるだけでなく、むし歯の原因菌が多い、食生活に問題がある、唾液の質が悪い、歯の質に問題がある、など複合要因が原因だからです。 本当の原因がわからなければ、どんなに歯みがきを頑張っても残念ながらむし歯は予防できません。
日本人は歯磨きをこまめにしているにもかかわらず、むし歯が多い民族です。この一つの原因として、歯科医院に「予防」を目的として通院する人が非常に少ない、保険診療では予防を目的で受診できない、という社会保険の問題が挙げられます。
むし歯を予防するためには、家庭で行うセルフケアの他に、歯科医院でのプロのケアを受けることが非常に大切なのです。
それには具体的に次のような方法があります。
歯医者さんで受けられるむし歯の予防方法
歯のクリーニング
ブラッシングで歯の表面の歯垢(プラーク、バイオフィルム)を全て取り除くことは不可能で、その取り残した歯垢から出た酸が歯の表面を脱灰させて、むし歯が発生します。
歯科医院で歯の表面の隅々までクリーニングをすることで、そのリスクを大幅に下げることができます。
ブラッシング指導
毎日のブラッシング方法が間違っていたり、生活習慣が悪いと、磨いていても磨けていない、ということが起こります。
何よりブラッシング不足がむし歯発生の第一の原因となるため、歯科衛生士などのプロによる正しい磨き方の指導を受け、自分で実践できるようにしておく必要があります。
食事指導
むし歯になりやすい食生活を送っている場合、ブラッシングを頑張っていてもむし歯になってしまいます。この場合、「むし歯になりにくい食事内容、食事の仕方」の指導を受けましょう。
何より日常生活で実践することが大事です。
高濃度フッ素塗布
乳歯や生えかけの永久歯のような弱い歯や、高齢者で唾液量が減少してくると、特にむし歯リスクが高くなるので、歯科医院でのクリーニングと高濃度のフッ素塗布してもらうことが非常に重要です。
もちろん、生えてからしばらく経った永久歯、成人でも、大小関わらず、歯に詰め物をしている場合は非常に強い味方になります。
歯をむし歯菌の酸から守るように、フッ素で歯を強化しておくことをお勧めします。
むし歯に関して気をつけること
一般的に「甘いものを食べる=むし歯ができる」というイメージが定着していますが、甘いものを食べずとも、お米やパン、せんべい、牛乳などにも糖質が含まれているため、普通に食事をしている限り、むし歯はできます。
また、むし歯には「穴が開く」というイメージがあり、自分で口の中を見て「穴がないのでむし歯がない」と思い込んでいる人もいますが、むし歯は歯と歯の間や、詰め物などの奥にできている場合も大変多くあります。
そのため、自分で「むし歯にはなりにくい」とか「むし歯はない」と思っている人こそ、むし歯が手遅れになる危険性があるので要注意です。
ぜひ、歯に自信があると思っている方も、歯科医院で定期的な検診を受けることを強くお勧めします。